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スタジオジブリの1993年作品「海がきこえる」期間限定リバイバル上映を観てきた【ネタバレ含む感想】

「海がきこえる」リバイバル上映ネタバレ有り感想|手帳とiPadで、好きを綴る。 つれづれコラム

スタジオジブリの1993年作品「海がきこえる」期間限定リバイバル上映を、初日に映画館で観てきました。

今回の上映は、国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス Filmarks(フィルマークス)主催のプロジェクトにより、2025年7月4日(金)より3週間限定で初の全国リバイバル上映されるものです。

この作品の公開当時はまだ小学生だった私にとっては、今回が初見。ネタバレを含みつつの率直な感想を綴ってまいります。

今回の記事作成にあたり、作品の場面静止画データをスタジオジブリ公式サイトよりお借りしています。引用元:https://www.ghibli.jp/works/umi/

スタジオジブリの1993年作品「海がきこえる」

「海がきこえる」場面静止画

© 1993 Saeko Himuro/Keiko Niwa/Studio Ghibli, N

作品概要

『海がきこえる』は、月刊『アニメージュ』で連載された作家・氷室冴子の原作小説をスタジオジブリの若手スタッフが中心になって1993年に長編アニメーション化、テレビスペシャルとして放映された作品。高知と東京を舞台に、10代の終わりが近づく3人の若者たちの繊細な心の揺らぎや葛藤に向き合う青春模様をみずみずしく描き出しています。
多くの人にとって馴染みのあるスタジオジブリ作品とは一味違った作風で、人間関係の機微や複雑さを捉えたリアルなテーマと情景が心に残るストーリー。今もなお多くのファンに愛され、さらに新たな世代や海外のファンも魅了し続けている名作アニメーションです。

引用:映画マガジンFILMAGA【90年代名作アニメーション 初の全国上映!】 スタジオジブリ『海がきこえる』7月4日(金)より <3週間限定>で全国リバイバル上映決定!

作品データ:海がきこえる(1993)

原作:氷室冴子
脚本:中村 香
監督:望月智充
音楽:永田 茂
主題歌:坂本洋子
声の出演:飛田展男 ⋅ 坂本洋子 ⋅ 関 俊彦 ほか

上映時間:約72分 日本テレビにて放映
1993.5. 5(水)16:00-17:25

まにっき
まにっき

後から気づきましたが、劇場公開作品ではなくて「テレビスペシャルで放映」された作品だったんですね!

ネタバレ含む感想

さて、72分の本編を映画館にて鑑賞してまいりました。
率直な感想を書き連ねますが、本編のネタバレも含まれますのでこれから鑑賞予定の方はご注意の上、ご覧いただけますと幸いです。

ヒロイン・里伽子の魅力が理解しきれず…

「海がきこえる」画面静止画

© 1993 Saeko Himuro/Keiko Niwa/Studio Ghibli, N

まず、辛辣になるかもしれないのですが、感想を述べる上で避けて通れない点なので…。

ヒロイン・里伽子の魅力を理解し難いが故に、主人公(杜崎くんと松野くん)の恋心に共感・没入できない…。

里伽子は「とにかくめちゃくちゃ美人」で「洗練された東京の女の子」、しかも「頭脳明晰スポーツ万能」とまさに絵に描いたような才色兼備な転校生である…という導入部分はよーくわかるとして。

ハワイでの修学旅行、杜崎くんとの会話あたりから、里伽子の自分本位な人間性が露わになります。「所持金を落としたからお金貸して」なんて見え見えのウソをふっかけておきながら、素直に応じてくれる純朴で優しい杜崎くんに対してズケズケと言いたい放題…
そこはまず感謝やろ?と思わずスクリーンの向こう側へお説教しにいってあげたくなります。

彼女は生まれ持った美貌という魅力を理解し利用し、相手の機嫌や好みを敏感に察して自分の思い通りに操る術を知っている────わかってやってるよね?あざとい。

さらに物語が進んでも、終始にわたって里伽子はツンケンしたまま。ずっと「コイツいつになったらデレるんやろうか?」と期待しましたが、その時はついぞ訪れず(少なくとも私にはわからない)。
これ、男子目線ではわかるのだろうか…?
里伽子の魅力…「めちゃくちゃ美人」「物怖じしないはっきりした性格」「でも不遇でかわいそうな子」であり「ほっとけない」…?こんなところだろうか。
いや、わからん。

特に、里伽子が周りの人間(特に高知の)を「見下している」態度に満ちているところが腑に落ちなかった。自分を貫くことと、他人を巻き込んで思い通りにしようとすることは違うからねえ。

メイン男子2人・杜崎くんと松野くんの魅力が際立つ

「海がきこえる」画面静止画

© 1993 Saeko Himuro/Keiko Niwa/Studio Ghibli, N

里伽子とは対照的にメインキャラ男子、親友である杜崎くんと松野くんが気持ちのいい好青年だという魅力がわかりやすく伝わってきます。
しっかり良い成績は取るけどごく普通の高校生らしい杜崎くんと、物静かでスマートな優等生・銀縁メガネの松野くん。この2人のキャラクターにはきっと誰しもが好意を抱くと思う。

修学旅行中止に対する抗議、全校生徒の中でたった二人の挙手…。2人とも、周囲に同調しない揺るがなさ、強さを持っている。その上中高一貫校(たぶんものすごい進学校)でめちゃくちゃ頭もいいはず。
ルックスも、キラキラした感じではないものの「ジブリ作画のイケメン」て感じの爽やかなかっこよさがあって、とてもよき…。

杜崎くんと松野くんを分けたのは「行動」かもしれない

ただ、そんな好青年2人に恋心を寄せられた里伽子が最終的には杜崎くんに惹かれたのは、杜崎くんが彼女のために行動を起こしたという点があったからかも(傍目にはただ弄ばれてるようにも見えるが)。

ハワイでお金を貸してあげたこと。
高知から東京への秘密の旅行計画に付き添ってあげたこと。
──親友の告白を無碍にした彼女に、正面から抗議したこと。

松野くんを手ひどく振ったことを知った杜崎くんは速攻で里伽子に抗議する(これは当然の行動)が、里伽子から逆ギレされて平手打ちを喰らう。その後3倍返しくらいのビンタお見舞いしてたけど。

さらに後日にも別件で里伽子に1発殴られ(意味不明)、直後あろうことか松野くんからも逆の頬をボコされる。作中3発も殴られ流石にかわいそうだろう。(昔のドラマ・アニメはやたらビンタが横行する…)
この一連の暴力行為(…)もこの時代ならではの青春の描写なのかなあ?

とはいえ、里伽子と杜崎くんがからむエピソードはどれも強烈な印象を残すもので、東京から高知に「都落ち」して孤立していた里伽子に、上辺ではなく心から向き合い関わってくれた杜崎くんの存在は、彼女の中で特別になっていったのでしょう。

私は松野くんに同情します…

しかし、腑に落ちないのは松野くんの不遇さよ…

最初に里伽子とコンタクトをとり、しかも同じクラスというアドバンテージがあったはずの松野くんの立場は…。里伽子に手ひどく振られたせいで成績ガタ落ち、ハワイではたしか彼だって里伽子に2万も貸してあげてたのにね…。

いやいや、松野くんは将来もっといい男になるよ。進学先、おそらく京大でしょうしね…なんといっても関俊彦ボイスですからね…関さんのお声は時を超えて魅了する…。

1993年日本のリアルな描写は、一見の価値あり

「海がきこえる」場面静止画

© 1993 Saeko Himuro/Keiko Niwa/Studio Ghibli, N

1993年の日本───東京・高知の風景、そのリアリティたっぷりの丁寧な描写は一見の価値ありです。そこはさすがスタジオジブリ気鋭の若手集団の為せる技と言えるでしょう。

ちょっと昔の日本の日常風景。まだバブル景気の名残りをまとった東京の街並み、建物、駅の雑踏…あの頃を生きた人たちの「ちょうどよかった時代」の空気が、綺麗にパッケージングされているところが高く評価される作品なのかもしれないと感じました。

まにっき
まにっき

ちなみにラストシーンの吉祥寺駅、ビルに掲げられた映画館の看板に「紅の豚(1992年公開)」が描かれているという小ネタが潜んでいるのを発見しました…!

もう今後見られないという意味で言えば…高校生の飲酒シーン&未成年が堂々と居酒屋貸し切りで飲酒喫煙のコンプラゼロ描写も今では絶対に描けないですね。
えっ高知の同窓会のシーン…ってまだ大学1年(18そこそこ)の設定ですよね?昔はこ〜んなにゆるかったんだ…高校出たらほぼ成人扱いってことだったのか?…と唖然としてしまいました。

まにっき
まにっき

今回の上映が「PG12指定(親や保護者の助言・指導があれば 12 歳未満でも観覧できる)」なのは、この辺りの描写によるものかも?(個人的な推察です)

それに、スマホもネットも存在しない1993年、公衆電話と家電話で交わすコミュニケーションもノスタルジーを感じさせます。決して便利じゃないけど、だからこそ行動を起こし、ドラマが生まれるんですよね。

まとめ

スタジオジブリの1993年作品「海がきこえる」期間限定リバイバル上映を観てきた率直な感想を綴ってまいりました。

「海がきこえる」の公開(スペシャルアニメ放映)当時、私は小学生でした。そのTV放送時も観たような、観なかったような…ぐらいに曖昧な記憶にしかなかった作品です。
この作品はたぶん「大人向け」であり、当時20〜30代ぐらいの若者が、少し昔の自分と重ねて観るのにちょうどいい作品だったんだろうな、と想像します。

でも…そのターゲット層よりずいぶんと歳を重ねてしまった今では、まるごと共感するには厳しかったなぁ…というのが、今回のリバイバル上映での素直な感想です。

それでも「スタジオジブリの若手集団」が創り上げた、他作品のイメージとは一線を画す作風や美しい風景描写は、やはり映画館の大きなスクリーンで堪能する価値のあるものだと感じました。

今回、3週間限定のリバイバル上映という貴重な機会に劇場まで足を運びましたが、今後もこういった90年代の作品リバイバルがあればどんどん観に行きたいと思います!

『海がきこえる』公開情報

公開日:2025年7月4日(金)より3週間限定上映

※公開劇場は順次追加予定。公式X(@Filmarks_ticket)でお知らせいたします。
※劇場により、上映日・上映期間が異なります。

レイティング:PG12
配給:Filmarks

引用:映画マガジンFILMAGA【90年代名作アニメーション 初の全国上映!】 スタジオジブリ『海がきこえる』7月4日(金)より <3週間限定>で全国リバイバル上映決定!

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まにっき

iPadでデジタルイラストや日常エッセイ漫画を描いています。手帳と文具が好きでアナログ手帳を複数持ち→現在iPadでデジタル手帳に移行。アイビスペイント、Procreateが好き。
京都郊外|2児ママ|専業主婦|農家の嫁

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